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【読書ログ】『Ank:a mirroring ape』を読了

Ank:a mirroring apeの文庫本の表紙

訳あってしばらくブログを更新できていなかった。
しかし下書きは約一年近く前に書いてあったので当時書いたものとして進めていく。



最近は電子書籍と文庫本を並行して読み進めていた。
その内の電子書籍は前回取り上げたが、今回は文庫本の方も読了したということで書いていく。

今回読んだのは
Ank:a mirroring ape』です。

実は著者の本を読んだのは、これが初めてではない。
以前にも著者の再デビュー作である『Q J K J Q』を読んだ事がある。
序盤は主人公がナルシスト過ぎて少し苦痛だったが中盤からはその気配がなくなり、比較的楽しく読めた記憶だ。

して、今作だがQJKJQと同じくミステリー小説である。
しかし決定的な違いはSFの要素も孕んでいるということだ。

今作は主人公、鈴木望が所長を務める霊長類研究所から一匹のチンパンジーが脱走したことにとって「暴動」が始まる。

暴動というと現在フランスで起こっているようなデモを想像する方もいるかもしれない。
しかし、今作の場合は人間同士が訳も分からず互いを殺しあうのである。
そこの描写は著者お得意の中々グロテスクな仕上がりであった。苦手な人は控えてもいいかもしれない。

その原因が今作のミステリー要素でありSF要素であるのだが、個人的にはファンタジーのほうが近いように感じた。

自分は完全にハードSFだと思い込んで読み進めていたので、そこが少し残念であったものの、SFらしい時間的な壮大さは間違いなく備えていたし、ページの多さも相まって物語の世界感に没頭できた。

パニックものなのにここまでチープさを感じさせないのは、やはり佐藤究氏の筆力だなと感じさせられた一冊であった。